連載「絶対英文法」の3回目は、「完了時制」の基本をニュアンスの違いと共に紹介します。現在、過去、未来の基本時制に「(時間的な)幅」を持たせる完了時制、コアとなる概念をしっかりと押さえましょう。
聞いて答える文法音声クイズに挑戦!
まずは、 聞いて答える文法音声クイズに挑戦しましょう。英文一文を聞き、文法上(または表現として)不自然な部分があれば正しましょう。音声は書き取らずに考えましょう。答えは、本記事の末尾にあります。
「過去形」と「現在完了形」の違い
過去形と現在完了形の使い分けに苦手意識を持つ方は多いのですが、過去形は「過去の話」、現在完了形は「現在の話」です。現在完了形には現在から過去を「回想する」ニュアンスがあり、現在から過去の一時点を振り返り、経験したこと、継続してきたこと(していること)、そして完了したことを表現します。次の2文を比較してください。
(A)My coffee machine broke down.
私のコーヒーメーカーが壊れました。
(B)My coffee machine has broken down.
私のコーヒーメーカーが壊れました。
日本語は同じ「壊れました」ですが、英文(A)のbrokeは過去形で、あくまでも過去の話ですから、今はコーヒーメーカーは動いている(あるいは買い替えたなどの)可能性があります。一方で、英文(B)のhave(has) brokenは現在完了形で、過去の出来事(故障した)が現在もなお続いている状況(It’s still not working[今も動いていない])であることが明確になります。
「現在完了形」と「完了進行形」の違い
現在完了形は「完了」「経験」「継続」の3用法が有名ですが、動詞が動作動詞の場合はforまたはsinceなどで期間や時の起点を示さなければ、継続を表現できません。
現在完了進行形have been Vingは継続用法のみですから、forやsinceがなくても(あっても)OKです。
(✖)I’ve studied English here.
(〇)I’ve been studying English here.
このルールに加えて、現在完了形の継続の意味を強調したものが現在完了進行形、と押さえておきましょう。
I’ve been studying English here for two years.
≧ I’ve studied English here for two years.
私はここで2年間ずっと英語を勉強しています。
「過去形」と「過去完了形」の違い
過去完了形は、過去のある一時点までの完了・継続・経験を表現します。「あのとき(⇒過去形)までの完了・継続・経験」という感じで考えるといいでしょう。
When 過去形(過去の一点)I got back,
they 過去完了形 had already finished dinner.
私が戻ると、彼らはすでに夕食を終えていた。
この例文であれば、戻ってきたときまでに、夕食が済んでいたことを過去完了形で示しています。
一方、過去の一点を軸にしない、単純な過去の習慣・状況や出来事は過去形で十分です。
(〇)I lived in Perth for six months.
私は6カ月間パースに住んでいた。
(✖)I had lived in Perth for six months.
↓
(〇)I had lived in Perth for six months before coming back to Japan.
日本に帰国する前は、6カ月間、パースに住んでいた。
※before coming = before I came
聞いて答える文法音声クイズの答え
【音声】
Oh, no! I dropped my phone!
しまった!ケータイを落としちゃった!
【答え】
I dropped → I’ve dropped
【解説】
過去形には現在から「遠い」距離感があるため very recent(ごく最近)の出来事には現在完了形を用いるのが自然です。ただ、アメリカ英語の口語では過去形を使うこともあり、完全な間違いではありません。
過去形が現在から「遠い」距離感があることについては、連載2回の記事を参照にしてください。
次回は、名詞の「特定」のニュアンスと「不特定」のニュアンスについて紹介します。どうぞ、お楽しみに。
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